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鬼無里(国道406)


  • 長野県に、鬼無里(きなさ)と言う地名がある。 国道406号線沿いの集落だ。 今では、閉村して 長野市に合併されたそうだ。 古い谷あいの里には 多くの伝説も残されていて、 その伝説にちなんで この村の名が付けされた様である。 国道406号は、起点を長野県大町市に、終点を群馬県高崎市に持つ その国道沿いの峠に 絶景の場所が有ると聞けば 行ってみたくなる。 国道406号を、長野善光寺から 白馬に向かって走ると それがどんなに 絶景か解るらしい。

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なべじんぐワールド

2006年7月20日 (木)

第五話 「ひまわり」

なべじんぐ ワールド

 

このカテゴリーは、なべの空想の世界であり、
フィクションであります。これを読んでなべは、おかしい などと思っていただけると 幸いです。
不定期の 更新となります。(ヾ(--;)ぉぃぉぃ いつもじゃねーか)

 

※今回に限り、想い出も取り混ぜさせていただく事を、ご了承ください。

(場所設定が、めんどくさい (゜゜;)エエッ)


お暇な時にでも ゆっくり お楽しみいただけると 幸いです。

 

第五話 「ひまわり」

鉛色の雲の切れ間から夏の太陽が見え隠れする頃の事である。
優(まさる)達は、自転車小旅行を、企んでいた。


「海にする?山にする?」
「海より、やっぱ山だよね」
「一日に、どの位走れるのかな~」
「10キロのペースで、8時間 80キロくらい?」
「サイクルスポーツ(※①)の記事だと100キロくらい走ってるよね」

(※① 自転車専門雑誌)

「ひぇ~100キロ」
「でも・・・・100キロだと 日光が 圏内になるね」
「日光か・・・・・小学校の修学旅行でいったわ」
「おれも」 黙ってうなずく

 

「難関は、いろは坂だな」
「うわぁ~あの坂登るのかよ」
「おれ、去年の修学旅行で、あそこでバスに酔っちゃってなぁ~」
「でも、それで、プラン練っておいて!!」

 

優は、うなずく
「ちなみに、何泊できる?」
「まだ・・・・母ちゃんに話してないけど」
「二泊三日じゃないと 無理だよ」
「それで・・・やってみようよ」

 

後日プランが出来上がった。
自宅から、日光市内で一泊民宿利用
日光市内から いろは坂を経て、湯の湖へ 

湯の湖のキャンプ場で一泊
帰りは 一気に坂道を下って 自宅までのコース。

 

それで、本決まりになってしまった。

 

一日目・・・・

途中パンクが5回 予想を遥かに上回り 12時間掛けて 日光に到着
到達感と、翌日への希望もわいてきた。

二日目・・・

朝から暑い日であった。
旅館にお礼をいい 30分も走ると いろは坂の馬返しに着いた。

 

しばし休憩

 

いろは坂は、体力とかペースがあるから、自分のペースで登る事に決まっていた。

 

走り出すと、いきなり 汗が吹き出る。
ギアを、一段また一段 下げても下げても 坂道を登っていかない。
息は切れ 心臓は、飛び出しそうな勢いであった。
「きつい」 押そう・・・・優は、思った。

 

友人達は、もうすでに、後方見えなくなっている。

 

ところが、不思議な事に、自転車を降りて押しているほうが、もっときつい事を学んだ。
あえぎながら、※②ダンシングしながら、一漕ぎ一こぎ 登ったほうが楽であった。
    (※②立ち漕ぎとも言う 体を左右に振りながらペダルに体重を乗せる)


やがて来る、頂上を夢見ながら 無心でペダルを回す作業に集中していた。

 

 

そこに、大型の観光バスが、幅寄せしてきた。


「な・・・・なんだよ!!」


バスは、20メートルくらい前方で止まり ドアが開いて、バスガイドさんが、降りてきた。

 

はぁはぁ と荒い息使いで横を通り抜けようとすると、

 

「乗っていかない?」
「すいません お気持ちだけで・・・・・・」


運転手の顔を見ると、乗ってけ と顎で合図してる。

「でも・・後ろに友達いますし、すいません」
「あら・・・友達もう 乗っているわよ」


そのとき、 バスの窓ガラスが開いて、「優~乗っちゃおうぜ~」

 

 

 

その日は、頂上で、景色は、見てない。
見られなかったが正解かもしれない。

 

 

どうやって帰ってきたかも、覚えていない。


 

 

 

悔しさと、汗と、強い日差しの 中一の夏であった。。。。。

 

 

 

 

 

 

 


ところが・・・・その一年後 メンバーを変えて、同じプランで、
この坂を目指すとは思っても見なかった。

 

一日目、やはり仲間は選ぶべきだ ペースが速い 8時間到着
自炊の楽しさを覚えたのもこの時だったかもしれない。


翌日に降り注ぐ 悪夢が近づいていた事を知る由も無かった。

 

二日目、目指す坂までは、同じく30分ほど、身支度を済ませ、
キャンプ場にお礼を言って、走り出す。


下り坂、ペダルをこぐ事も無く、恐ろしく早い。


ブレーキを掛けながら ゆっくり下ればよかった。

 

 


キャンプ場から20秒下っただろうか?


後ろを走っていた友人が 突然追突


友人は、その場で倒れこんだ


優は、そこから、10メートルほど走ってようやく止まった。

「大丈夫か?」
返事が無い
駆け上がって、顔を覗き込む、「大丈夫か?」


返事が無い そのうちに、ガタガタと震えだし「寒い」「寒い」の連呼
自分の自転車に戻り、さっき詰め込んだばかりの毛布を引っ張り出し
友人に掛ける
「どこか痛い所は有るか」無いわけは無い 派手に転んだから
「ここと・・・・・・この辺と・・・・・」


目が開いてない・・・・救急車呼ぼう・・・


今思えば、命あってよかったと思う。

 


先に下っていた友人が、「あまり遅いから・・・」と言いながら
登ってきた。


「どうしたの?」
「突っ込んできた」


ちょっと見ててと友人に、頼み自転車に戻る


「どうする?」
「救急車 呼んでくる」


無残に捻じ曲がった 泥除けを引きちぎり、自転車を確認する。


「走れそうだ」


さっきまで楽園であったキャンプ場に戻り、キャンプ場の
 管理人さんに、事の次第を告げ
救急車を呼んでもらった。

 


市内の病院で、警察官の事情聴取を受けながら
花瓶にささった ひまわりを ぼーっと見ていた

 

 

骨折三箇所 打撲4箇所 の診断

 

 

「電話したよ、お母さんすぐ こっちに来るって」 友人が戻ってきた。


続ける友人「どうする? いろは坂?」

「やめよう」

「じゃおれ、電車で帰るわ、あいつのお母さん知ってるし会ってから帰るわ」


「そうか・・・頼むね・・・・・もうそろそろ出なきゃ 家まで帰れないから」

 

 

 

 

この日も、どこを、どう通って、帰ってきたか 覚えていない。

 

 

 

 

暑い暑い熱風の向かい風の中、ひまわり だけが ゆれていた事位しか思い出せない。

 

 

 

 

この日は、家に帰って 風呂に水を張って、ずっとずっと、もぐっていた。

 

 

暑くて辛かった訳ではない。

 

 

熱風・入道雲・ひまわり ある日の少年の記憶である。

 

 


第五話 「ひまわり」完


息子が、同じ年になって、色んな事にチャレンジして欲しいと思っていても、
彼は、野球一筋 まぁ^^それは、それで 良いことなんじゃないかな~
悔しさは、残さずにね^^ 一生懸命がんばりや

君の誕生日に これを贈る。

 

この坂に忘れてきた 落し物 拾って、がんばりたいと思います。

2005年11月18日 (金)

第四話「ぎんなん」後編


なべじんぐ ワールド

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お暇な時にでも ゆっくり お楽しみいただけると 幸いです。


※前回の あらすじ
※宝物を 探しに 神社まで来た 優と父
※焚き火で焼いた サツマイモが出来た頃
※歌織がお茶を煎れてくれた。
※さて 宝物は 見つかったのでしょうか?

 


おまけ付き・・・・(‾m‾〃)ぷぷっ!

 

 

第四話「ぎんなん」後編

 

「お茶にしてください」 歌織が言うと
お盆の上に 置かれていた 湯飲みがそれぞれの手に、渡って行った。

 

父は、焼けた サツマイモと格闘しながら何とか、二つに割った 中のあめ色の部分から 湯気が立ち上がっていた。

 

「わぁー 美味しそう 私にも少しください」と歌織が言うと

父は、その一つを手渡した。

 

「優君 神社の 階段に座って食べようか」そう言って 階段の方に歩き出した歌織に
「これ持って行きな」 と、父は新聞紙を渡した
優が、受け取り 歌織に渡すと、いつの間にか、駆け足になっていた。

 

神社の階段は 御影石で出来ていて、ひんやり冷たい そこに新聞紙を敷いて二人は座った。

朝食を食べていなかった優は、夢中で食べた。もう 匂いは、気にならなくなっていた。

「おいしいね。お姉さんね サツマイモ大好きなの」
と言って、笑みを浮かべた。

 

夢中で食べている 優の様子を 笑みを浮かべながら見つめる 歌織は、「お茶煎れなおしてくるね と言って
再び 焚き火の方に 戻っていった。

 

 

冷たい風が 頬をなでた。

 

 

すぐに 歌織は、戻ってきて
「神社の掃除は、いい事有るのよ。優君も手伝ったからいい事あるぞ」
と言いながら、背中に隠していた 瓶ジュースを見せた。

 

ジュースの王冠を抜いてもらい ごくごくと飲んだ。

青空が見えた。

 

「お茶の方が良かったかな」の問いに
首を振るだけで充分だった。

 

「うわー 美味しかった。お腹いっぱいになっちゃった」

 

「もう一個、ご褒美あげるね」


そう言うと 先ほどの王冠を 優のセーターの上からかぶせ 裏側に 王冠のコルクを付けた。
それは、神社掃除した証のように思え誇らしかった。
そして、歌織は こう続けた
「この神社 三本だけ銀杏なのね、他は、枯れない木なの でもこの三本のおかげでこの時期 氏神様に感謝の気持ち伝えられるのね今日は がんばったね 偉かったぞ」

 

優は 褒められ、嬉しくなって照れながら父の方に駆け寄った。

 

「いい物もらったな」
「うん 歌織 姉ちゃんから ご褒美もらった」

 

 

焚き火はまだ暖かかった。

 

 

焼き芋で おなかも温まり 体も温まって いつもより早起きだった優は、いつしか 眠りについたようだ。

 

 

 

気がつくと、父の背中に おぶさり 家路についていた。

 

 

温かい父の背中  頬を切る寒風   胸の王冠

 

 

ある日の 少年の記憶である。


第四話「ぎんなん」後編 完

 

 


短編 読み切り を心がけていたものの
イメージが 膨らみすぎて
二編にわたってしまったことを
お詫び申し上げます。

今の子供たちに 王冠といっても 伝わらないでしょうな

 

 

 

 

 

 

第四話 「ぎんなん」おまけ

 

神社掃除から 二週間ほどしてまた、優は神社に来ていた。

 

人の気配は無くひっそりとしていた。

 

「やっぱり 宝物は 無かったんだ。」

「お父さんの嘘つき・・・・」

 

寂しい思いで 家に帰ると、コタツに 潜り込んだ。

 

心地よい暖かさに 寝てしまうとある夢をみた。


白い長いひげを たくわえた 老人が、神社の掃除をしていた。
その老人は、
「神社を掃除してくれて ありがとう」
「えっ、何で解ったの?」
「その、王冠じゃよ・・・・その王冠は、神社掃除した子供に与えられる 証じゃ・・・・これで、来年も此処にいられる」

「あなたは、神様?」
「わしは、使いのものじゃ」
「その 証を 大事にするのじゃよ」
と告げると、目が醒めた。

 

父が 仕事から帰っていた。
夕飯の準備も 済んでいた。

 

優は、1つのお皿に 目を移した。
一本の竹串に 5個ほど エメラルドグリーンの、小さな 丸い物が刺さっていてきらきら輝いていた。

 

「ほら、宝物 届いたぞ 1つ食べてごらん」

 

優は、1つ口に入れた。
「うわっ 苦い これが宝物?」


父は、苦笑いした。


でも、優は、もっと良い宝物貰ったと思っていた。
それは、どこにでもある、王冠だが、とても特別な物であると思っていた。

「いただきます」

 

笑顔で 夕飯を、食べ始めた。

 

第四話 「ぎんなん」おまけ 完

 

 

大人の 大事な物と 子供の大事な物は とても差が有りすぎて 解らないものですな
人には、ガラクタに見えても、個人的には、とても大切な思い出だったりする物です。

焚き火も、どこでも出来る と言う訳に行かなくなってしまいましたが・・・・

お忙しい中 お読みいただき ありがとうございました

第三話 「ぎんなん」前編


なべじんぐ ワールド

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第三話「ぎんなん」前編

 

何度か、木枯らしが吹いた後の日曜日の朝早朝から 優(まさる)は、父に起こされた。


「まだ眠いよ」とまた、布団にもぐりこむと父は、覗き込みながら「宝探しに行こうぜ」とだけ、優に伝えた。

 

宝物と聞いて、優は先日見た ヒーロー物を思い出していた。

 

それは、悪魔の帝王が居て、きらきら光る財宝や、金貨 美術品が 乱雑に置かれている映像であった。そして、門番らしき奴と戦うのだが、これがまた 弱い。優もこれなら僕にも勝てそうと思っていたのを思い出した。

 

とっさに、飛び起きた 優を見て   

「行くか」とだけ 言って先に玄関を出た。

優は、なかなか履けない靴下に手間取りながら、着替えを済ませて外に出た。

 

ようやく出た 朝日を浴びながら、父は、
煙草の煙を 燻らせていた。

 

「さて、行くか」と言いながら
深く息を 吐いた。煙草の煙か寒さのせいか判らなかったが、 息が 白くそこに留まり二人を見送った。

 

「ねえ、お父さん どこまで行くの」
「神社さ」
「神社に 宝物が有るんだね」
「そうさ」
「ただ・・ 宝物を手にするには、苦行をしなくてはならないけど がんばれるかな?」
「うん  がんばる」

 

優は どんな宝物か うずうずしてきた。

 

神社に近づくにしたがって、なんともいえない 匂いに気がついていた。

 

「やはり 此処の匂いだったか」と父が言い「臭いね」と優が言う

そこには、黄色い絨毯をひいたようないつもと違う神社の境内があった。
ひっそりとしている境内がこの日は落ち葉を集める人が居たり何かを拾う人が居たりしてにぎやかであった。


父は、持ってきた ビニール袋を優の手に丁度手袋をするように器用に巻いた。

そして、「丸いこうゆうのを 拾ってこの中に入れな」と割り箸で 見本を見せてくれた。

傍らでは、落ち葉で 焚き火が始まっていた。

ひとしきり拾うと、すぐに、もって来た袋がいっぱいになり、優もいささか飽きてきた。


宝物は、どこに有るんだろう・・・
きっと 宝石に違いない わくわくした気持ちは、まだまだ 止まらなかった。

 

焚き火の方で 臭いそれを拾っていた 父に呼ばれ、行ってみると、

 

「腹減っただろ もうすぐ焼けるからな」
と 焚き火の中を 見つめた。

焚き火は、暖かく 優達を包み込んで 離さなかった。

 

「お父さん 宝物は? どこに有るの」
「宝物か~まだこれから 二週間くらいかかるな」
「そうか 判った 神様が 持ってきてくれるんだね」
「あはは そうかもしれんな」

「どれ もうそろそろ いいだろ」
と言って 棒を 焚き火の中に刺すと、棒の先には、こんがりと焼けた サツマイモが出てきた。

「お茶にしてください」の声に振り返ると

 

歌織の姿が そこにあった。

 

第三話「ぎんなん」前編 続く


Σ(^∇^;)えええええ~<(_ _)>
続き 急いでやっております。

一話 100行とイメージしていたものの
なかなか 難しいですね~
無口で 誠実な 父 
明るく 子供好きな 歌織
w((‾‾0‾‾))wワオッ!!どう発展するのでしょうか~(‾m‾〃)ぷぷっ!

2005年10月24日 (月)

第二話「きんもくせい」

なべじんぐ ワールド

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第二話 「きんもくせい」


その日は、暗くなるのが早かった。
いつもの、野原で遊んだあと、家路を急ぐ 優(まさる)を 優しい香りが

包んでいた。
横丁の 支那そば屋の隣の電気屋の角を曲がって、50メートルほど

の所に優の家があった。

ドアを開け、靴を脱ぎながら優は、いつものように「ただいま」とつぶや

く。
台所では、優の母が忙しそうに 夕食の準備に取り掛かっていた。
穴の開いた靴下を脱ぎ捨てながら 台所に向かうと、のれんをくぐり中

に入った。
そこには 先ほどまで家路を急ぐ優を包んでいた香りが部屋中に漂っていた。

「ただいま」
母親は びっくりして 振り返った 「あら優ちゃん おかえりなさい」母は続ける
「いい香りでしょ 金木犀って言うのよ 今日、信用金庫の駐車場から貰ってきちゃった」
水道の蛇口の脇に置かれている 牛乳ビンに挿されている葉を横目で見ながら
ガラガラと うがいをし すぅ~っと息を吸い込む。甘いとてもいい香りだ。
優は その優しい香りが 金木犀であることを 初めて知った。
この日も 母と二人だけの夕食であるが 
いつもと違っていたのは、この香りのせいだったのかも知れない

優しい香りと 裸電球の優しい光に包まれていた。

 

あくる朝 いつもより早く学校に向かった優は、ガチャガチャというガラスのぶつかる音に振り返ると
「あら」 先日「すすきのふくろう」を作ってくれた女性が、自転車を止めた。

「おはよう」と声を掛けられて優も、
「おはようございます」とたたんだ傘を振りながらやっとの思いで こたえた。

その視線は、自転車の前かごの中にある牛乳瓶に注がれていた。
「あぁ~これね・・・あれをいけようかと思って」その視線の先には、昨夜見た、柑子色(こうじいろ)の 小さな花たちが咲き誇っていた。
それと同時に、甘く優しい香りに包まれていることに気がついた。
「私ね、ここで働いているのよ、窓口にいい香り置こうかと思って・・・ね」
「そうだ、ちょっとだけ選んでくれない?」
そう言うと、半ば強引に、優を誘った。
「沢山お花がついているのが いいなぁ」
優は 必死になって探した。


葉を除けようとそっと手を伸ばした時だった。


深緑色の葉に、しがみつく茶色の物体に目を留めた。それは、まったく動かないのに、あたかも、生命が宿っているかのようにそこに、留まっていた。
「蝉の抜け殻だね 必死にしがみついてるのね もう 秋だというのに がんばるね」

「ポツポツ」と雨が降り出した。
「この位でいいかな 学校に遅れちゃうね」

 

 


雨は、一日中降り続いた。

 

 

授業が終わると、優は、友人の誘いを振り切り、あの場所に急いだ。しかし、信用金庫は、すでに閉まっていて、どのように窓口に飾られたかは、解らなかったが、まだそこは、甘い香りに包まれていた。


そして、雨に打たれながら 必死に深緑色の葉を抱え込む動かない 背中の割れた虫を見つめていた。


ふと、気がつくと、柑子色の花が、雨に打たれて落ち、絨毯のように、地面を覆っていた。
それは、川の流れのように、時には広く時には狭く、道路まで続いていた。


甘いやさしい香り、蝉の抜け殻、柑子色の絨毯


少年の ある日の 記憶である。

 

第二話「きんもくせい」 完

 


時として、香りというものは、鮮明に、記憶に残るものですねぇ (‾o‾;)ボソッ

 

 

ちなみに、登場してきた女性のプロフィール

信用金庫に勤める OLさん 川名 歌織(かおり) 

歌が好きで、子供好き、気さくで、明るい・・・・・・

凄いな こんな人本当に居るのだろうか?

 

2005年10月19日 (水)

第一話[すすき]

このカテゴリーは、なべの空想の世界であり、
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思っていただけると 幸いです。
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お暇な時にでも ゆっくり お楽しみいただけると 幸いです。


では、主人公 優(まさる)の世界へ どうぞ^^


第一話[すすき]

横丁の 焼き鳥屋の角を曲がって少し行った所に、ちょっとした 野原がある
その野原が、僕等の憩いの場所でも有った。
野原の道路側は、草も少なく キャッチボールや サッカーなどをして遊ぶには、最適であるし奥まった側には、草木が 身の丈ほどにうっそうと茂っていた。
その草木を通り超えると、小さな池もある。池の話はまた後ほどにして・・・

 

いつものように、その野原に 自転車を漕いでたどり着くともうそこには、3人ほど集まっていた。
「グローブ 持ってきたか?」の問いに うなずく 優(まさる)
優は、ちょっと臆病で、内気な少年である。
なぜ このグループに、彼が居るのかが 不思議なくらいである。

 

自転車を乱暴に乗り捨て、打ち合わせもなく キャッチボールが始まる。
一つのボールを四人で回し、それは、だんだんエスカレートしていった。

優の投げたボールが、暴投となり、緩い放物線を描きながら 茂みの中に消えていった。
「あ~あ お前が投げたんだから 取って来いよ!」弘喜(ひろき)が言った。
弘喜は、優の友人で、運動も、勉強も出来た。ぶっきら棒の所もあったが 皆から信頼されていた。

 

渋々動き出した 優に、付き合うように、昭博(あきひろ)が続いた。
昭博は穏やかな 優しい性格で いつも 優に付き合ってくれていた。

 

「ひろ いつもありがとうね」
「何言ってるんだい、早くボール見つけちゃおうぜ」

二人は、茂みの中に 入っていった。


がさごそと、茂みを掻き分けて進んでいくと、
向こうからも がさごそと 人が近づいてくる気配
すると 「ぼくたち もしかして ボール捜してる?」 女の人の声
「そこに、落ちていたから 拾っておいたよ」 とボールを投げた。
左手には、沢山の ススキの穂が、落ちそうになっていた。

「助かった~」 ひろが、お礼を言って キャッチする。
「まける~行こうぜ」 優は動かない。
何か、もぞもぞ 言おうとしてる。

 

 

それを 察知した 女性は 
「あぁーお姉さんね~ ススキの穂を取っていたのよ」
「あのー それどうするんですか?」ひろが 優を代弁する
「これでね、ふくろう 編むのよ 見たい?一つ作ってあげようか」
「ここじゃ 蚊に刺されるから 外に出て 小さいの作ってあげる」
と 三人は 茂みから もぞもぞ 這い出してきた。

 

 

日が傾きかけ 自転車の長い影の中 五人は 一塊になって
その女性の 美しい手元に 釘ずけになっていた。

 

 

年のころは 26~28才 少年には、とても大人に見えた。

 

「これで完成」 と 手のひらに 乗せられた そのふくろうは、
夕日の中に シルエットとなって 少年の 頭の中に記憶した。


夕焼けの空に、黄金色の ススキの穂    

そして シルエットのふくろう

 

少年の ある日の 記憶である。

 

第一話 完

文中の 登場人物は、すべて フィクションですので^^;